もっと早く‥
このキスが、初めてのキスならよかったのに…。






私はどれくらいぶりかに涙を流した。







そっと離れた幸大は私の顔を見て驚いていた。






「紗夢?」


「ちょっとトイレ。」





私はみんなには見られないようにその場から離れた。







どうしてだろう。





胸が苦しいんだ。






目の前が潤む。






頬を伝う涙。






私にもまだ感情があったみたい。






哀しみ。





それだけが。
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