もっと早く‥
「紗夢は死んだんだ!」






バカ兄貴は鳴き声で叫んだ。





「…誰が殺したんだよ。」


「それは今警察が捜査している。」


「‥お前があのとき捜査願を出していれば‥。」


「っ…。」






俺はそっと紗夢から離れ、バカ兄貴を見た。






「お前が殺したも同然だろ?」





俺はバカ兄貴を睨んだ。






バカ兄貴は俺を見た後すぐに目を逸らした。







「どうしてあのとき捜査願を出さなかったんだよ。」


「…。」


「紗夢はあんたのこと嫌いにはなれなかったって言ってた。」


「っ…え?」





バカ兄貴はウルウルした目で俺を見た。
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