もっと早く‥
私は慌てて目を逸らした。





「言えないと言ったでしょ。」



「俺は知りたい。」



「なぜ?」






どうして私の中に踏み込もうとするの?






「俺の秘密は、父親が母親を殺した。」



「っ!!」




え‥?




「俺がまだ5歳の頃。」






幸大は私に背を向け、校庭を見下ろした。







「俺の目の前で‥母親は死んだ。」



「っ…。」





だから‥幸大の表情は無くなったの?





だからいつも冷めてるの?
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