もっと早く‥
おばさんは首を傾げてどこか一点を見つめた。




「確か家を失ったとか‥。」


「‥っ。」


「噂だけどねぇ。こんな立派な家に住んでたのに家を失うなんてねぇ。」





そう言っておばさんは歩いて行ってしまった。







俺はもう一度家を見上げた。






そしてすぐに目を逸らし、歩いた。







ここにいないとなるともう会う術はない。







俺は街中へ向かった。







何も変わっていない。







一つのこと以外は。









俺は何もない平地に来た。
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