もっと早く‥
「ここで働いていたんですか?」


「わしは社長じゃった。」


「っ!!!!」





俺はもう一度老人を見た。





「わしには息子がいたが、元気にしとるのか‥。」





老人‥いや、父親は平地を見て目を潤ませた。






「…。」






俺は父親の横顔をじっと見つめた。







あの頃の面影は全然ない。






スーツをビシッと着こなし、背をピンと張り、自信に満ちた顔をしていたあの父親はもういなかった。
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