もっと早く‥
「わしがいたら幸大が辛いだけだ。」


「…。」


「会社はうまくいっているのか?」


「‥あぁ。」


「そうか。それならいい。お前が幸せに暮らしているならそれで。」







そう言って父親は俺に背を向け歩き出した。







俺は見てられなかった。







こんな父親は父親じゃない。







俺の頬に一筋の涙が流れた。









俺はしばらくその場を離れることができなかった。




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