もっと早く‥
しばらくすると紗夢の兄が来た。






「おはよう、社長さん♪」


「…。」




呑気なもんだ。







紗夢の兄は両手をポッケに入れて俺を見下ろした。







「返事を聞こうか。」


「…。」


「あれ?まだ決まってないとか?」






俺は椅子に座ったまま兄を睨んだ。







「ははっ!そりゃ悩むよなぁ。会社を取るか、女をとるか。」


「…。」


「俺を雇わなかったら女が死ぬんだもんな。」


「…。」





クスッと笑う紗夢の兄。






「女を取ったらこの会社を潰す。さぁて、社長さんはどっちを選ぶ?」


「…。」


「はははっ!!いい顔してんなぁ。」







紗夢の兄は俺の顔を覗き込んだ。
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