もっと早く‥
幸大は真っ直ぐ兄を見つめ、笑っているが目が笑っていない。




「お前知ってんの?」


「何をでしょう?」





幸大はびくともしない。





「こいつは俺に抱かれてること。」



「はい、知ってます。」



「ふ~ん。」




兄は眉間にシワを寄せた。





「では、失礼します。」





幸大は兄をじっと見つめたまま歩き出した。






兄は悔しそうに唇を噛んでいた。








「一回紗夢の家行くけど、平気か?」






私はコクンと頷く。
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