もっと早く‥
「紗夢知ってるか?」


「何を‥?」


「感情があるから弱くなるけど、言葉は伝えなきゃ伝わらないときもある。」


「…。」





ヤスは寝転がって空を見つめた。






「笑顔は時に人をも笑顔にさせる。」



「っ‥。」



「紗夢、さっきみたいに笑えよ。」



「…。」



「キレイだった。」





ヤスは真っ直ぐ私を見た。





私はヤスから目を逸らした。





「‥私のことより‥。美幸を笑顔にさせたら?」


「ん。それも今思った。」







ヤスの視線を感じながら私は空を仰いだ。
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