もっと早く‥
「ほら、帰るぞ。」




幸大は軽々と私の体を持ち上げた。





私は幸大にお姫様抱っこされ、屋上を後にした。







「ちょっ//降ろして。」


「ダメ。家出少女はこうでもしないと家に帰らないからな。」


「っ‥。」






私は幸大から目を逸らした。




「帰る。帰るから‥降ろして。」





幸大はフッと笑って私を降ろしてくれた。





「嘘。そうでもしても連れて帰りたいだけ。」





ボソッと言った幸大だけど、私ははっきり聞こえた。






幸大はどこか寂しそうな顔で遠くを見つめていた。
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