さよなら、記憶
出会い
俺は佐藤真季。
只今高校2年。
肩に届かないほどのショートカット。
髪色は明るい茶色にピンクのメッシュ。
制服は学ラン。上着の下にはピンクのTシャツ。
耳には痛々しいほどのピアス。
これが普段の俺の容姿だった。
俺は世間では性同一性障害といわれるものだった。
産まれたときから男として育ってきた。
声は幸い低めだったせいで特に違和感はなかった。
胸の育ちは悪かったおかげで、女でいてもからかわれるほどだった。
俺を囲むのはいつも男。
逆に俺の周りに女の子がいるほうがおかしいだろうが。
告白は女からしか受けたことはなかった。
でも俺が頷くことはなかった。
部活はずっと帰宅。プールも見学。ないとは言えこのバストを見せるわけにはいかない。
小、中と今まで1度も女だとバレたことはなかった。
男としての自分が当たり前だった。
むしろ女なんてバレるのが今更怖かった。
そんな俺に声を掛けてきた、初めて俺を名前も見ず女だと分かったのが玲太だった。