さよなら、記憶

帰り道

深夜3時。

いつものメンバーでカラオケに来た。

その帰りだ。


中で酒を何杯か飲んだ俺は足取りがふらつく。

このメンバーの中で酒が弱いのは俺だけ。


玲太も郁也も葵も未亜も酒に強い。

俺は玲太と未亜に肩を借りながら歩く。


郁也は金色と茶色のツートーンで玲太に負けないくらいのピアスの数。

身長は低くて俺とあまりかわらない。


葵はベージュの髪にゆるふわカール、薄いモデルのような化粧をしている。

体系も抜群で今まで落とせなかった男はいないらしい。


未亜は金色の腰まで伸びる髪をアップしている。

葵とは対照的に濃いメイクを好んでいる。


未亜は年齢をごまかしてキャバクラで働いているおかげで、

給料日には未亜の奢りで皆で夜までこうして騒ぐ。




「次どこ行く?」

郁也が吸っていた煙草を地面に押し付けて俺らより一歩前を歩く。


「どこって…真季がバテてんじゃん?」

葵がクスクス笑いながら俺を見る。

ふわふわしている俺の額に今度は声とは違う方向からデコピンが飛んでくる。


「ってぇ…」

「んー、じゃあ俺こいつ送ってくっからお前ら次行けよ」


そう言ったのは玲太だ。

葵の腕を俺から解いてひとりで俺の体重を支える。


「わりぃな玲太!じゃあ俺ら先いってるな!」

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