P a i n .
─ピシャンッ
ドアが閉まった音がしてから、声を出した。
「行ったぞ。」
「……ああ。」
ふぅ、危なかった、と声を洩らしながら、男が物陰から姿を現した。
「次は、あの子かい?」
目の横にシワを作り、そう彼は尋ねた。
「そう、だな…。」
「了解。ま、色々と調べてみるわ。 …例のアレ、絶対忘れんなよ?」
「分かってる。」
「…あまり、あいつに関わらない方がいいと思うけどな、俺は。 じゃあな。」
意味深な言葉を残して、彼は準備室から出ていった。
途端に、辺りは静まり返る。
やっぱりここは、落ち着く。
胸元にある、小さなリングのネックレスをふと、持ち上げた。
じーっと見つめながら、呟いた。
「悪いけど、次は君だ。」