P a i n .




あの女がドアを閉めたのを確認してから、僕は背伸びをした。


…また、今日も学校か。



ゆっくり立って、僕は身支度を始めた。


 ─…学校なんか、なければいいのに。



心の中で何度もそう呟きながら、準備を進めた。




一通り準備が終わると、さっき女が置いた金を財布に入れ、家を出た。




 「おはよう、涼ちゃん。」


 「おはようございます。」


近所のおばさんが、笑顔で挨拶してくれた。


…ちゃん付けで呼ばれるのは、正直好きじゃない。


まあ、僕は女の子だから仕方がないけど。




心の中で文句を言いながら、早足で歩く。




路地を抜けると、すぐに学校が目に入った。



 ─板崎中学校。



ここが、僕の学校だ。




< 2 / 22 >

この作品をシェア

pagetop