秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
なんかかっくんの腕の中にいるとむくむくっと勇気が湧いてきた。
そして思わず…。本当に思わず、ぽろりと。
「あたしね……バイオリンもうできないんだ」
かっくんの肩に顎を乗せて…次々と、こぼすように喋り出してしまった。
「この手ね、もうだいぶ動くし、力も入るようになったし、感覚も戻ってきたけど……だけど限界なの」
…かっくんの表情は見えない。
見るのが怖くてあたしは、抱きついたままなんだ。
「…再起不能って…言われちゃった」
反応はない。
だけど。
…ああ。
やっぱり、この人しかいない。
そう思った。
…抱きしめてくれてる…。
ずっと…抱きしめて。
「日常生活にはなんの支障もないけど、バイオリンなんかできないってさ。あたしからバイオリンとったら何が残るん…」
「真裕」
「…!」
…嫌だ。
止めないでよ。
言わせてよ。
口を閉じたら……涙が…。
「…真裕」
「…! か…っくん…!」
…泣けって言われてるみたいだった。
枷を外すかのような、促すかのような声に、ぼろぼろと涙が流れ出した。