秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*

『藤峰様』


『あ、先生。なんか色々すいませんでした。この人を助けてくれてありがとう』


病室を出ると、先生が待ち構えていた。

この人がここに来た時から数えると、三ヶ月もお世話になってる。


『いえ…本当に良かったです。奥様、どうかご無事に、元気なお子様が産まれますようここから祈っております』


そう言ってくれた先生にもう一度頭を下げた。


「まおー、楓くん、野木から連絡があった。もうこっちについているそうだよ」


『本当にありがとうございました』


かっくんの頭をぐりぐりっと下げさせて、やってきた父様に返事をし、その場をあとにした。


『じゃあね先生!』


笑顔で見送ってくれたみなさんに手を振った。



「すぐそこに車を用意してるから、そこからヘリポートに向かおう」


「こらまお、走んな」


「ねえねえ、どのくらいで着くかな!」


帰れる…。

やっと、幸せだったあの頃と同じように帰れる!


そう思うと嬉しくて…嬉しくて。

心がはやるばかりだった。



「うふふふふっ」


「…かわいそうに」


「誰が!? ねえ誰がかわいそうって? 気のせい? 今あたしのお腹を見ませんでした?」


どういう意味だよっとにもうっ。

大体他人事みたいに言うけど、あなたが父親でしょうが。


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