秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*

―――……


数時間後、機内は俺とお義父(ようへい)さんだけ。

真裕は「あたし…酔ったりしてつわりがカムバックしたらいやだから寝るね。現実逃避するね。てかもう自己洗脳」と言って本当に眠ってしまった。

しかもいつものごとく、俺に引っ付いて。


あいつらならともかく、さすがに義理の父の前では少し気まずい。

かといって、俺がいないことに極端な不安を感じる今の真裕から離れるのもいろいろ無理だ。

俺的にも…こいつ的にも…。


「ところで楓くんやいやい。現在は私の息子の楓くんやい」


「…久しぶりに聞きますねそれ」


確か…結婚する前、「私の未来の息子」という言葉を頻繁に使っていたような気がする。

結婚どころか、付き合ってすらいなかったころから。

なんか…へんな歌も、誕生日に届いたような気がするが…。




『はっぴばーすでーでぃーあ私の未来の息子ーはっぴばーすでーとぅーゆー』




「……」



―ぞくうっ



…思い出してしまった…。寒気が。つーかもういっそ悪寒。


「聞いているかねおいおいおい」


「あ…なんでしょう?」


「真裕の左手のことは聞いているね?」


「…はい」


途端真面目な顔で口を開いたかと思うと、真裕の手のこと。


再起不能……ってやつか…。


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