秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
『大丈夫かな…』
…あれは、ほんの数週間前だ。
『大丈夫かな、赤ちゃん』
不安げな顔で自分の体を見下ろす真裕。
あの表情とそっくりだ。
真裕はもう…親になろうとしている。
母親という…絶対的な存在に。
『んまー…だけどもういいっていうか』
そう言って笑った真裕の顔を思い出した。
バイオリンが出来ないと、俺に話したときだ。
ずいぶんとすっきりした表情で言った真裕はこう続けた。
『だってあんな事故に遭って…バイオリンが出来なくなっても、あたしとかっくんの赤ちゃん、生きててくれた』
『…!』
『まあ…それでいいんじゃね? みたいな。なははー』
…確かに。
確かに真裕は儚かった。
とても弱くて…脆かった。
だけど今は違うようで。
母親というのはそんなものなのか、やっぱりあいつは強くなった。
母さんが言っていた「我が子が一番」というのは、今の真裕にすでに当てはまるようだ。
「…大丈夫ですよ」
「…え?」
「まあ…あれですね。母は強しってやつでしょ?」
「…!」
…あれ、ほんとだよ…。