秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
シュンの呟きでふと思い出したように、花梨が一人の少年に目を向けた。
なるほどあまり見覚えのない顔だ。
『ああ、これユウキ。なんだっけ? か…かの…カノウ?』
『それはいいんだよ』
『あら。そうなの?』
「会ったことあったっけ?」
きょとんと首を傾げる花梨だが、仮にあってたとしてもあれは完全に記憶のない顔だ。
ここはもう、会ったことはないことにしておけ。
「ところでまおちゃん、ひどく顔色が悪かったみたいですけど…体調でも?」
「ああ…少し無理をさせてしまってね。本当は休ませたいのだが…」
―カラッ…
「ん?」
「お?」
「あ?」
「え」
「……」
『どうかお休みください奥様』
『奥様って態度!?』
『失礼は承知です。しかし私は医者ですので…』
『世間から永久追放してやろかこのこのっ』
…何気に恐ろしいこと言うようになったんじゃないのまおちゃん…。
といってもまあ、言いたくもなるかもしれない。
まるで子供のようにつまみ出されているわけだから…。
『お父様もいらっしゃいますしこちらで…』
『父様なんかいいからかっくん!』
「今私のことどうでもいいとか言わなかった!?」