秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
突然鋭い声で言い放ったまおちゃん。
その圧倒感に思わずうなずいたような雰囲気の医者は、きょとんとして瞬きを繰り返す。
『今後一切私に命令しない。もっぺん言うけど触らない。…誰も! 誰も構わないで』
厳しく、こちらを振り向くこともなく言い放つと、まおちゃんはぴしゃんと強く音を立てて扉を閉めた。
『……』
『……』
『……』
…二度目の沈黙。
誰もが呆気にとられていた。
「…久しぶりじゃない…? あのまお…」
「そう…やんなぁ…」
『ふ……藤峰様のお怒りを買っ…!?』
『あ…ああ、すみません。あれはキレるとどうも手が付けられなく…』
もうあまりの恐れ多さに声すら失う医者を、まおパパが必死でなだめていた。
まあ確かに…藤峰家次期当主に本気でキレられると色々怖いよね。
さっき言ってた“世間から永久追放”、本当にされかねないし。
『ただ…放っておいてやっていただけませんかね? あれの体に悪いことは重々承知です。真裕自身もよく分かっているでしょう』
『でしたら…』
『しかし、それでも夫のそばにいたいんですよ娘は』
『…………分かりました。なにかあればすぐに呼んでください』
『申し訳ありません』
『しかし…』
『え?』
『……いえ。それでは』