秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
絶望と奇跡の境界線
――真裕サイド――
「ふ……」
あれから早くも一週間。
二ヶ月目を覚まさなかったのだから当然かもしれないけど、かっくんの容態に変化は何一つなかった。
―カラカラカラ…
「まおちゃん…大丈夫? 無理しないで」
「お義母様…」
病室に入ってきたのはかっくんママ。
つい二日前にやってきたんだ。
そのときの、震えるママの手が忘れられない。
複雑な思いがよく分かった。
「ああ、いいのよ立たないで」
気丈なママは、今はこうして笑ってあたしを気遣ってくれる。
なのにあたしときたら…。
心配してくれるみんなを突っぱねて、ますます心配と迷惑をかけるばかりだ。
分かっているのに…頭では分かっているのに。
心がついて行かなかった。
「さあさ。お休みなさいな」
「ごめんなさい…」
「あらいやだ。なにを謝るのよー」
ころころと笑いながら、あたしにブランケットをかけてくれるママ。
本当のお母さんみたいに優しくて温かくて。
すごく安心できるけれど、同時につらかった。
ママだってどんなにつらいんだろう…。
それなのに…。
そう思うと、とてもいたたまれなかった。