秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
若干ためらいがちに返事をした野木さんだったが、あの人なら大丈夫だろうな。
真裕の命令には絶対に逆らわない……というか、真裕以外の命令は聞かないらしいし。
洋平さんではなく真裕を主としているみたいだから。
「ねえねえどのへんにどんなお店がある?」
「俺は生まれてこのかた日本かパリかウィーンかイギリスしか行ったことねぇんだよ。ここはそのどこでもない。よってなにも知らん」
「それだけ行ってれば十分なんじゃない…? てか威張るとこ…?」
当たり前だ。
今初めて降り立った地のことなんか知るかってんだ。
まして、店なんていう細かいことますます知らん。
「えー…まあ行ってみればなんかあるでしょ」
そう呟くと、真裕は突然方向転換をした。
「あっち、人がいっぱいいるよ」
「人ごみ大丈夫か?」
「たー…ぶん?」
たぶんでいいのかよ…なんて思ったものの、顔色も悪くないし本当に楽しそうな表情をしているし、まあいいかなと。
またそう思ってしまう俺は、どうしても真裕に甘い。
「どこかなあお店」
ケーキ屋みたいなのは…あるな。
あっちは普通の服屋か。
「あるのかな」
「さあ」
「さあじゃ分かるかーッ!」
「いやだから知らんっつーのにΣ」
「あ!」
「今度はなんだよ…」