秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
――楓サイド――
自宅となる家に着いて数分…。
真裕は、俺達一般人からすればイラッとまでくる台詞を吐いていた。
「ここ意外と狭くね?」
「……」
中に入ってきょろきょろと見渡しながら呟く。
「ね、狭くね?」
「狭くねぇよバカ」
このうちの中に俺の実家二つはぽんっと入るぞ。
あそこも小さい方ではないものの、こんなのと生活してるとすごく手狭なところに住んでいたような気になってしまう。
順応とは恐ろしいものだ。
「イタリアの別荘くらいかなぁ…」
「一体いくつ別荘持ってんだΣ」
どうなってんだよ藤峰家…。
「言っとくが本邸と比べんなよ? あそこはあんまりに格別だ」
「でもここ、あたし達が住むんでしょ? 別荘じゃないんでしょ?」
「…例え使用人が二十人くらいいて子供が十人くらいいたとしても、まったく問題ねぇぞ」
そこへさらに十人くらい泊められるんじゃねぇの。
「……泊めるといえば、ユウキはどうなったんだ?」
「まだ来てないんじゃなーい」
「……軽いなお前」
こいつ基本軽いよな…。
俺でさえ未だにコントロールしきれてないんじゃなかろうか。
お義父さんもたぶん、持て余してる。
……というかあの人が持て余されてる…?