秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
「……」
これほどそっくりな親子を俺は見たことがない。
「おいあんた跡取りなんだろ? なんとかしてくれよ」
「俺は会社(を継がされる)だけだ。藤峰本家においての力は今んとこほぼねぇ」
「…役立たず」
「ああ"? やんのかテメェ」
「いいぜ。暴れて追い出されてやろうか」
「はっ。そりゃ無理だなあ? あの義父親はそんなことで追い出すような人間じゃねぇんだよ」
「じゃあんたを殴ってやるよ。藤峰の親父さんは、あんたのこと気に入ってんだろ?」
「その程度でも無理だな」
「いいわじゃあΣ今勝手に出て行くし」
「できるもんならやってみな。世界の藤峰なめんなよ」
「うるさいこの…」
「どっちもうるさいわ!!Σ 外でおやんなさい! そんな口喧嘩胎教に悪いでしょうが!」
珍しくキレているユウキと本気で口論になりかけていたとき。
これまた珍しく、真裕が本気でキレた。
「大体ユウキはもう諦めなさいよ。うちの父様、もう誰が言ったって聞きゃしねーわよっ。そんであなたもいちいち乗らない! どうしても喧嘩したきゃ、さっさと出ていきな!!」
びしっと外のほうを指差しながら、真裕はきつく言い放った。
「…わ、悪い…」
「……」
…こういう時というのは、頭よりも早く口が動くものらしい。
まあ、ユウキに至ってはそれすらできなかったようだが。