秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
真裕と一緒に楓くんが見つからなかったと聞いたとき、実はすでに、ひょっとしたら楓くんは…と思っていた。
「だからせめて、忘れ形見を残してやろうと思っ…」
「勝手に殺すなー!」
「ぎゃーっ! す、すまん!」
痛い…! 痛いよ…!?
真裕のやつ、父をなぐった!
「だ…だからつまりだな。あのときの真裕はすでに妊娠中で…それが、命に関わることとなったんだ」
『あ…。あのとき、マヒロは助からないかもって言ったのは…』
「ああ、そうだ。どちらも助けるとなると、むしろどちらも助からない可能性のほうがうんと高かったからね」
それでも私、真裕から奪っちゃいけないと思ったんだよ。
楓くんの子を…奪っちゃいけないと…。
「実際の怪我は左手以外…大したことはなかったんだ。楓くんのおかげでね」
さっきの真裕の話を聞いて確信したよ。
やっぱり彼は、寸前に真裕を守ってくれたんだ。
なんっっってかっこいい男なんだっ!
『そういえばマヒロ、左手の怪我…』
『大したことあったの? やっぱり…』
『あーまあね。大したこと大アリだよ』
さらっと言った真裕の顔は、本当にさらっとした顔だった。
楓くんに会えたことが…そんなにも大きいか。
バイオリンが二度とできないつらさも飛んでしまうほどに…嬉しいか…。
「大アリって言い方じゃないわよそれ…」
「なあ、ホンマなん?」
「まあね」