秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
ん? なんだ。
彼らは知ってるのか…。
…の割にはシュンくん達は知らないんだね。
ちょっと不憫に思ったけど、こいつのことだからどうせ…。
『あ、忘れてたかも』
…とかまた言うに決まってる。
だけど本当に安心だ。
楓くんが目を覚ましてからというもの、真裕は完全に元の真裕に戻った。
底抜けに幸せそうに笑うし、なにより子どもが出来たことをちゃんと喜べている気がする。
今までは、楓くんがいないのに子どもだけいたって…と、どこかブレーキをかけていた。
最初に告げて以降は自殺をしようとすることはやめたものの、「赤ちゃんなんていいから、かっくんに戻ってきてほしいよ…!」ずっとそう言っていた。
本人も、そんな風に思う自分が嫌で。
自分の子どもが出来たことを喜べない自分が嫌で仕方なかったようだが、それも仕方のないことなんじゃないかと思う。
『ああ…そういえば、楽器も全部…あの事故でなくなっちゃったんだよね?』
唐突に思い出したように呟いたメイリー。
しかし真裕は、またもけろっとして…。
「あーいいんじゃない別に。かっくんのはものすごくすっごーくもったいないけど…」
「いいってことはないだろ…。お前の、あれが最後だったんじゃないか?」
そうだ。
真裕のバイオリンは一つは何者かによって破壊され、もう一つは行方不明。
そして…あの事故だ。
もうないな…。
「いいんだよ。あたしもう、バイオリンやらないし」
「は…?」