秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
片方は点滴を、片方はあたしの腰を抱いて歩くかっくんは少し辛そうで、あたしは不安げに彼を見上げた。
「ほんとに大丈夫…?」
「ああ…。慣れねぇとな」
「そう…」
…不思議なことに、かっくんと歩いてると誰もなにも言いに来ない。
一人だと、ひとたび病室から出ようもんなら誰かしらついてくるか、「こらー!」って怒られるのに。
今とかは…。
「おっ、楓歩けるんか」
…ってしゅっちゃんがぽんぽんかっくんの肩たたいたり。
『マヒロー、水替えたから、いつも置いてあるあの棚の上に置いとけばいいのよね?』
ってリジュが、さっきの花瓶を持って言ったりとか。
「あ、まおちゃんこんなとこにー❤ねえねえっ、これ早速買っちゃったんだけどどう?」
…ってお義母様が、ちっちゃい靴下持って来たり。
「可愛い! なあにそれ?」
「赤ちゃんの靴下❤」
「こんなちっちゃいんだぁ…」
……とにかく、誰も「転ぶ!」とか「落ちる!」とか言わないのだ。
極めて普通に接する。
…何がそんなに違うのかしら。
『そりゃー、カエデがいたらこけようが落ちようが絶対大丈夫だもんね。怪我してようが体が動かなかろうが、なんとしてでもカエデが守ってくれるじゃない❤』
「メイリーいつの間に…」
『てかさ、マヒロって、カエデがいるときといないときとじゃ、転ぶ確率がずいぶん違うのよね』
『そ……そうかな?』
『絶対そう』