秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*
即答されて少しイラッとしたものの、今はそれどころではない。
「ちょうどいい。ちょっとこれをあのへんに運んでくれ」
「これをあのへんに運ぶって…お前自分の妻をなんだと思ってんだ」
「それどころじゃねぇ」
「あん?」
なんでわかんねぇかな。
どう見てもこいつ死にかけてんだろうが。
「お…? おいおいおい、人形みてェになってんじゃねェかよ。大丈夫かコイツ、どうした?」
「知らん。俺が聞きたい」
急にこんなんなったら俺じゃなくても焦るっつーの…。
とはいえシュンが軽々抱き上げて、なぜか俺のベッドに乗せたときは安心した。
「あれか? あのー…なんだ。あれだよあれ。……なんだ?」
「それはどっちかってーと俺の台詞だ」
なんだ? って聞かれても困る。
お前の言いたいことが俺に分かるか。
「ドクター呼んでくるか?」
「ああ。頼む」
病気とかそういうのではなく、悪阻というやつなんだろうが…。
…にしてもなんでまた急に?
しつこいようだが昨日までは普通だった。
…いや、普通ではないがそれが真裕の普通なわけで…。
まあこんなこと、俺が考えたって仕方がない。
そうすぐに諦めて、シュンが医者を連れて戻ってくるまでずっと、真裕の頬を撫でていた。