秘密のMelo♪y⑥*イギリス編*

即答されて少しイラッとしたものの、今はそれどころではない。


「ちょうどいい。ちょっとこれをあのへんに運んでくれ」


「これをあのへんに運ぶって…お前自分の妻をなんだと思ってんだ」


「それどころじゃねぇ」


「あん?」


なんでわかんねぇかな。

どう見てもこいつ死にかけてんだろうが。


「お…? おいおいおい、人形みてェになってんじゃねェかよ。大丈夫かコイツ、どうした?」


「知らん。俺が聞きたい」


急にこんなんなったら俺じゃなくても焦るっつーの…。


とはいえシュンが軽々抱き上げて、なぜか俺のベッドに乗せたときは安心した。


「あれか? あのー…なんだ。あれだよあれ。……なんだ?」


「それはどっちかってーと俺の台詞だ」


なんだ? って聞かれても困る。

お前の言いたいことが俺に分かるか。


「ドクター呼んでくるか?」


「ああ。頼む」


病気とかそういうのではなく、悪阻というやつなんだろうが…。

…にしてもなんでまた急に?

しつこいようだが昨日までは普通だった。

…いや、普通ではないがそれが真裕の普通なわけで…。


まあこんなこと、俺が考えたって仕方がない。


そうすぐに諦めて、シュンが医者を連れて戻ってくるまでずっと、真裕の頬を撫でていた。


< 83 / 279 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop