優しい旅人





最後に出会ったのは、旅人の親友でした。



「 やぁ、久しぶりだね 」

「 ほんとうに。元気かい? 」

「 僕はね。しかし、母が病気でね…。医者がとんでもないことを言い出した 」

「 なんて言ったんだい? 」

「 目玉を二つ用意すれば治してやろう、と。あの医者は頭が狂ってる 」

「 なんてことだ… 」

「 どうすればいいのか…。目玉なんてそんな。闇市で買う?いや、目玉はイカれた連中に高く売れるものだ。貧乏な家が買えるわけがない。あぁ… 」




うちひしがれる親友に旅人は言うのです。優しく、優しく。




「 落ち込まないで、大丈夫。
僕のを使ってください 」




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