【短編】魔法使いとシンデレラ
魔法使いの独白
僕は魔法使いだ。それもシンデレラに出てくる。

なんで童話に出てくる僕が自分がいるのが童話の世界だと分かるのかって?

それは「分かるから分かる」としか言えない。僕にも分からないのだからそう答えるしかないのだ。

さて、僕はこれからシンデレラに魔法をかけに行かなくちゃいけない。それが僕の役割だから。

シンデレラはとっても美人だ。
継母や義姉に僻まれて意地悪をされるのも納得できてしまうくらい。

そして優しい。シンデレラの家に住んでいる鼠や森に一人で住む僕のことも気にかける程、優しいのだ。

あぁ、王子様なんかにくれてやるのがもったいない。

そろそろ時間だ。早くシンデレラのところへ行かなければ。
王子様と結婚して幸せになるのが『シンデレラ』。だけど本当にそれで正しいのか? 

そう、例えば魔法使いと幸せになっても良いのではないか。


魔法使いがシンデレラに恋をする『シンデレラ』でもいいじゃないか。

 

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