あと一歩、もう一歩。


「………ないよ。」


幼馴染みなんだから、言わなくても知ってると思う、けど。


「…俺は、1回だけあるよ。
じぃちゃん、3年前に死んじゃった。」


それも、言われなくても知っていた。


「…俺、その時さ。
正直に言うと、あっけないな、って思った。
悲しいとか寂しいとか、そう言う感情も勿論あったけど、

ぽっかりなにか穴が開いた感じ。」


隆は、慎重に言葉を選ぶように、ポツリ、ポツリと話した。


私は隆が、おじいさんが大好きだったことを思い出した。


「昨日まで笑ってたじぃちゃんがさ、冷たかった。
それが俺が最後に見たじぃちゃんだったから、実感なかった。」


私は、うつむきがちに言う隆を見つめる。


「でもある日、じぃちゃんとよく行った公園に行ったんだ。
じぃちゃんがそこで話してくれたことや、一緒にアイスを食べたこと。
いろんなこと思い出してさ。


やっと、
じぃちゃんはもういないんだ。
って思ったんだ。」


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