あと一歩、もう一歩。
「……うん。」
隆は、いつも、どんな時も、必ず私と一緒に帰る。
友達に誘われても、
「雅と帰るから。」
の一点張り。
だから周りからは、付き合ってるんじゃないか、なんて言われそうだけどそんなことは1度もなかった。
何故かって、そんなの簡単。
隆は顔もかっこいいし、性格もいいし、正直すごくモテて、人気者。
反対に私、上木 雅(みやび)は、可愛くなければ無愛想で、友達も少ない。
いわゆる、地味な子。
そんな両極端な私達は、立派な幼馴染みに見える、らしい。
隆にとってはそれでいいけど、
私にとっては全然よくない。
まぁ、それもしょうがないけど。
「…みや、なにぼけーっとしてんだよ。
早く帰るぞ。」
しびれを切らしたのか隆は急かすように歩き出す。
みや、って呼ばれたの、久しぶり。
ちょっとときめいた。
いや、かなり。