あと一歩、もう一歩。
「もう約束したから。
破ったらもう絶交な!」
イヒヒと笑って、隆は言った。
「やだ!」
思いっきり叫んだ私を、隆が驚いたように見る。
下駄箱って、意外と響く。
誰もいなくてよかった。
私は、指切りげんまんに、本気になりすぎた。
「…みや?」
「やだ、私…隆と絶交したくない…。」
私、馬鹿みたい。
小さい子みたいに、本気にして…。
隆は、これからも一緒にいてくれるでしょ?
一緒に帰ってくれるでしょ?
隆は、少し困ったように笑って、私の頭を、ポンと撫でた。
「約束破ったら、の話。
雅の作品、期待してる!
靴履けたなら、もう帰ろ、な?」
隆に腕をひかれ、
「うん…」
私は歩きはじめた。
隆、気付いてる?
隆は、勉強するって約束したけど、
それは即ち東京に行くためでしょ。
もし東京に行ったら、私達、疎遠になるよ。
絶交、したようなもんじゃん。