【短編】それでも秘密☆
もう、リョウを直視できない。


早く、この場から立ち去りたい。


そんな事ばかり思う。


「ずるいよ…」


「…え?」


リョウは、体育館裏で聞いた時と同じくらい低い声を出した。


「スッキリしたい?…自分だけスッキリして満足かよ!なぁ?!俺の気持ちはどうなるんだよ!…ここで、フラれた時…正直しんどかった…」

リョウはクリクリの目から涙を流していた。

うん…もっと叱ってくれればいいよ…。

あたし、責められる覚悟できてっから…。


「俺は、今でもユカリが好きだよ?」


「リョウ…」


「今のユカリが好きなんだ。…意味分かる?」


分からないあたしは、首を横に勢いよく振る。


「過去があるから、今のユカリなんじゃん。今、俺に話してくれた過去があるから、ここにいるんだろ?」


…過去があるから…。

一旦止まったあたしの涙は、また流れ出した。


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