名前も忘れてしまった
屋上で
――キーンコーンカーンコーン……
今日最後の授業が終わった。
私は小さく伸びをして「疲れたぁ」と呟いた。
帰宅部の私は、このまま帰りの用意をしたら真っ直ぐ家に帰る。
机の横にかけてある自分の鞄を取ろうとした。
その時
「……町谷、ちょっと良いか?」
突然担任の先生に呼び止められた。
「なっ…何ですか?」
私は戸惑いながら返事をする。
「これから話したいことがあるから、職員室に寄ってくれないか?……帰る用意した後で良いから。」
「あ、はい。分かりました。」
私は不安混じりに同意した。
……なんか悪いことしたかなぁ。