逆転リバース
今からここに来るって言われても分かるのかな?
そんなこと思ってると、電話が再び鳴り出す。
「もしもし……」
『今どこにいる?』
「デパートに近い道路にいるけど……」
『じゃあ、すぐに来い』
本当に機嫌が悪い時は、長く続くなぁ……。
こうなったら私も急いで行かないといけない。
「お母さんスピード出すからね」
繋がらない電話をカバンに入れて、走り出す。
本当に少しもしないで着いた。
先に着いていた椿が真っ先に近付いてくる。
「つば――」
「ルー会いたかったぜ」
「………むかっ」
真っ先に抱き着いたのはルーくんだった。
なによ。奥様より息子が良いですかーそうですかー。
「なに、膨れっ面してんだよ」
「べーつーにー? ルーくんの方が良いもんねー」
椿はもう男の格好をしていた。
車の中で着替えたのかな?
「ったく、ただいま」
「……お帰り」
椿は私を抱きしめてキスをしてくれた。
例え深く長くなくても、嬉しかった。
椿は良い意味で大人だ。
もう気にしてないって雰囲気だし。
ただ単に、気分屋なだけかもしれないけど……。