逆転リバース
「とりあえず入ろう」
「うん」
最近できたらしく広い。
平日なのに、相変わらず人が多い。
メガネかけてても、椿に視線が向くのが嫌だ。
「何か買うものあったか?」
「夕飯だけかな? 椿は洋服……」
「最近はスタイリストもいるから必要ないな。問題はルーだろ。大きくなってきたしな」
ルーくんを抱える椿。
確かに大きくなったかも。
2歳に見えないと言われるし……。
「何かカッコイイ服を着せてやらないとな。俺らは好きな服も着れないしな」
椿は洋服好きだからなぁ。
だから、私が着る時は椿が買った服を選んでる。
「こら! なに考えてんだよ?」
「え? ルーくんも新しい服が必要かなと思ってさ」
「確かにな。俺が選んでくるから、結城も少し自由な時間が欲しいだろ。空いてる時間が少ないだろ」
「……うん」
でも、椿だって仕事が忙しいじゃない。
「ルーの服を合わせるのがメインだし、忙しいからこそルーとスキンシップ取りたいんだよ」
そんなこと言われたら、何も言えない。
あーぁ、せっかくのデートなんだから一緒にいたい……なんて言えなかった。