逆転リバース
「世の中、不公平だ……」
「なら、椿のラブシーンは良いのか?」
「よくない!!」
「これ見てもか?」
ゴシップだ……。嘘も真実も報道しちゃうという私たちにとっては苦いもの。
「えーっと………………はあ?」
付箋のあるページを見たら、ブチッと切れそうになった。
いや、それよりも泣きそうになった。
「……まあ、女装してるから同性愛疑惑は捨てられないことは分かってた! でも、なに! この子知らない!!」
椿が知らない女の子と一緒に、知らないアパートに入ってくのが写真で撮られていた。
「結城……?」
「っ……、大丈夫……です」
「泣いてるぞ」
「社長が見せたからです……」
目が一気に熱くなり涙が止まらない。
いくら手で止めても止まらない。
真実も嘘も報道する雑誌とはいえ、見慣れたブレスレットは見間違えない。
「この日、帰ってきたか?」
「……」
「分かった。断るか?」
「やる……」
「良いのか?」
「私だって、役者になるのが夢だったの。キスぐらい出来なきゃダメでしょ? その代わり、椿には内緒で……。私も雑誌のことは見なかったことにする」
いつまでも断り続けれ無いことは分かってた。
なら、私の出来ることをするだけ。