逆転リバース
少し疲れ気味になりつつ帰ると、椿がいて気まずくなった。
「お帰り。遅かったな」
「うん、ただいま」
いつものキスは、私の心のどこかでブレーキをかけてた。
好きだけど、他の人にもしてたの? って不安な気持ちが溢れてきて、壊れそうになる。
「結城?」
「……椿、私に隠し事はないよね?」
「……ない」
なんで言わないの? なんで躊躇うの?
私が我慢すれば良いの?
「互いの仕事には干渉しない。互いの決め事には干渉しない……だっけ?」
「……」
椿が決めた事柄。私も椿について詳しく聞こうとは思わない。
どんなに辛くなろうと、干渉しない。幼い私たちが決めたバカな決まり。