逆転リバース
行方
珍しく夜遅くの仕事。
新しくレギュラーで、音楽番組のアシスタントになった。
「――アシスタントの結城です」
メインの司会者が名乗った後に、私も挨拶をする。
閲覧者たちの歓声が聞こえる。
カミングアウトした後も、そんなに変化はない。
他人のことになんて気にしてられない……からかな。
「私生活も順調な結城くん。音楽に対して想いはあるかな?」
「音楽を出したことはあるんですが、売れませんでした」
「そうだったんだ。大変だったね」
「でも、歌は大好きだからこの仕事がきて嬉しいです」
笑顔で言うと、音楽が流れるとすぐにアーティストが現れる。
「……!」
一番目に出てきた女性に言葉を失う。
テレビで見たときから気付いてはいたけど、こんな風に再会すると思わなかった。