とりあえず王道に現実主義者を混ぜてみよう
暴力反対だー、と唇を尖らせている由宇はスルーした。
そうこうしているうちに、ドッヂボールも決着したらしい。
膝をついてガックリしているのは、お嬢様達だった。
「わー、転校生1人で勝ったんだ」
「王道ね。あと少しでチャイム鳴るし、教室戻る?」
私の言葉に頷いた由宇と共に立ち上がると
キャーッ!
と黄色い声が上がる。
「なにこの金切り声」
「晴菜…せめて『叫び声』って言おうよ…」
とりあえず金切り声の根源を探す。
キョロキョロと見渡し、見つけたのは
「げ」
「晴菜、ファンクラブ仕様」
「きゃー海翔様だわステキ過ぎて見てられないから帰りましょう教室に今すぐ即刻に一刻も早く」
「さすが」
私の変わり身ように
ケラケラと笑う由宇を引きずって教室に戻った。
後ろから
『愛莉を苛めんな!コイツは俺のお気に入りだ』
『ちょ、海翔!私は』
『そ、そんな、海翔様…』
『あんまりですわ…』
という声が聞こえたけど、どうでもいい。