とりあえず王道に現実主義者を混ぜてみよう
水木さんも必死に社会不適合者を止めようとする。
「ちが、海翔!ソイツは違うんだって!」
その声さえ聞こえてないようで、未だ由宇を離さない。
私は怒りに身を任せてツカツカと社会不適合者に近づく。
そのままひっぱたいてやろうと思ったけど、由宇が口パクで『ファンクラブ仕様!』と言ってきたから
…分かったわよ。
まったく、変に優しいんだから。
一回深呼吸して、社会不適合者の手から由宇の腕を救出した。
「なんだお前」
「お初お目にかかります。しがないファンクラブ会員ですのでどうぞ記憶から抹消なさってください」
「チッ、じゃあお前も愛莉を虐めたのか」
どうやらターゲットを私に移したらしい男は私の胸ぐらをつかみあげる。
……苦しいんですけどー。
とりあえず笑顔で反論する。
「『も』って何ですか。私もこの子も水木さんを虐めてなんかいませんよ。だって利益が無いじゃないですか寧ろ逆でしょう。世の中損得勘定が出来ないと生きていけませんよ。つまり私が不利益になるような不始末はしませんと申したいのですが」
ノンブレスで言うと目を見開く社会不適合者。