とりあえず王道に現実主義者を混ぜてみよう
とりあえず、学校で一番強くて一番の人気者に貸しが出来たのは嬉しい。
これでファンクラブの幹部に何か言われても対抗できるわ。
そう思って再び横を見ると
コンビニの袋からパンを取り出して食べ始めている龍崎。
「………」
「……なんだよ」
「いや、なんで此処で食べ始めるんですか。女子の中に1人って辛くないですか」
「………」
やはり気まずいらしい。
そりゃあ、濡れ衣かぶせた由宇とか、言い返した私とかがいるからね。
…じゃあ帰れよ。とか思う。
由宇を見れば、もう食べ終わって、弁当を片している。
早いわね…。
手を合わせて御馳走様をした由宇は、机に肘をついて残りの私たち三人を観察している。
と、いっても
私は黙々と食べてるし、龍崎はそっぽ向いてるし
水木さんはニコニコしてるしで
面白くもなんともないと思うんだけど。
私はミニトマトを箸で掴もうとする。
…滑るから上手く掴めない。
つるっ、と何回も箸から逃れるミニトマトに、もう食べ残そうと思っていると
ヒョイと、骨ばった大きな手がミニトマトを取っていった。
そして、
「ん」
「いや、なにしてんのよ」
私の口に真っ赤なミニトマトを押しつけてくる龍崎。
……頭いかれたのかしら。