とりあえず王道に現実主義者を混ぜてみよう
「来たわー、うはっ」
「由宇。笑い方が、はしたない」
朝、学校に来て、机の中を確認すると、入っていたのは黒い封筒。
同じものが由宇の机にもあったらしい。
由宇が言う『来た』っていうのは、この封筒が、『制裁開始の合図』だから。
つまり、
私の隣の席の、水木愛莉を制裁しろ、というファンクラブ幹部の命令。
「めんどい。制裁とかめんどくさいわよ」
「あたしたち、仮にもファンクラブ会員なんだけどなー、ははっ。海翔サマに近づくビッチはお仕置きが必要なのよ!!」
ガッツポーズで語る由宇に、冷めた視線を送る私。
「別に龍崎と誰がくっつこうがどうでもいいし。『リア充爆発しろ』とか思う時点でリア充に負けてるのよ」
「つまり、あたしは負け組ですね!」
「思ってるのね…」
だって嫉ましい!と叫ぶ由宇を横目に、封筒を開ける。
真っ黒な封筒の中には、可愛らしい天使がハートをぶっ壊している便箋。
…シュール。
書いていた内容は
《あー、もう。何よあのボサボサな髪!時代遅れっていうか、一昔前にもあんな眼鏡かけた奴なんていないわよ!》
という感じで始まっていた。
え、幹部の人達がヒステリック。