記憶 ―流星の刻印―
身体が、熱い。
痒い…
左肩の古傷が、疼く。
「…嬢ちゃん?大丈夫か?」
心配そうな太磨の表情が私の顔を覗き込むと、私は当てていた左肩の手を引っ込めた。
「……大丈夫よ。ちょっと驚いただけだから…」
そんな私の強がりに太磨は気付いている様で、私を心配する瞳は変わらずだった。
「…申し訳ありませんね、驚かせてしまったようで。平和な草原の地の方にとっては、信じられない体制でしょう?」
そう話すのは、
私たちの目の前に座る弟。
名前は、朱理。
砂丘の地の第2王子だそうよ。
私たちは避けて通るはずの、砂丘の地の中心地に着いてしまっていた。
更には、
その中心地にある宮殿。
この街は、おかしい。
宮殿に着くまで、王子様御一行が通る道のりでは、街の住民たちが地べたに平伏していた。
かと思えば、
急に王子様を目当てに剣を振りかざすチンピラが出てきたかと思えば、周りを固めていた兵士たちに切り捨てられ…
私たちは驚いて、
息を飲むしかなかった。
独裁政?
何なの、この街は…。
王子様に無礼を働いたという私たちは、これからどんな仕打ちを受けるのか…。
まさか、
死刑…とか言い出さないでしょうね?