記憶 ―流星の刻印―
……シャン、シャン。
蒼い衣装を纏った踊り子たちが、弦楽器の奏でる穏やかな音に乗せて、軽やかに舞っていた。
その中心にいたはずの私。
もう、
そこには居場所が無い。
「…………。」
村の様子に、
違和感を覚える。
「…前から、こうだった…?」
どうして…
気が付かなかったのかしら。
それは私が、
外の世界を知らなかったから。
外界と…、
空気が違う…。
外の草原の地の民、
砂丘の地の中心で見た町民。
それらと比べると…、
馴染みある皆の顔が、
その姿が…、
皆の纏う空気が…、
上手くは言えないけれど、
違って見えた。
穏やかで…、
どこか悠然と高貴に見えてしまい、戸惑ったのよ。
蒼い衣を纏う、
「龍湖の里の民」…。
馴染みある皆を、
まるで知らない人の様に感じてしまった。
でも…
そこには、生まれ育った…
母さんと暮らした私の家は確かに在って、蓮の家も、その裏手の牧場も…、
何も変わらない。
変わってしまったのは、
私の認識なんだと考えさせられた。
私が、
気付いていなかっただけ…。
ここが、私の故郷。
これが、
私の故郷の…
「本当の姿」なのね…。