記憶 ―流星の刻印―
幸いにも、
村の住民は夕食時。
外を出歩く者は少なく、蓮以外の村人に見つかる事なく、獣を自分の家に連れ帰る事に成功した。
新婚で早く家に帰りたいであろう蓮に見守られながら、薬草を使って治療し、獣の回復を願った。
蓮が落ち着く事はなかった。
「…もう帰ったら?」
私は何度もそう言ったけれど、
ソワソワと…、
帰ろうにも気になって帰れないと、蓮は部屋の中を右往左往していた。
私は落ち着いていた。
不思議と、
何の心配もしていなかった。