記憶 ―流星の刻印―


ババ様は、急にうつむいた。
この場の全員が瞳を伏せていた。


「…何か、隠してたのよね?」

今なら、そう分かる。

もう全部、言って?
今の私は全てを聞かないと、もう納得は出来ない。


「…美々は、殺されたんだよ。私の妖術を破って、人知れずこの里に辿り着いてしまった、氷上の主に…」

「……殺された?」


氷上の主に、…殺された…?

身体が震えた。
母さんの強い笑顔が、
私の脳裏を横切っていった…。


「…幸い、娘のお前の存在は気付かれなかった。身ごもる前に殺した、龍神様の刻印は絶えたと…、奴はそう思っている。」

「………。」


「…お前の存在を隠した。国に籍は無い…。お前を、護る為でもあったんだよ…」

そして、
氷上の主から、龍神の存在を隠す為でもある…。

関所で会った花梨さんは、
『美々の…娘ですって…!?』
そう表情を固めてた。
私の存在を必死に隠そうとしていた。

あぁ…、
そうだったのね…。


「…氷上の主は、どうして母さんを殺したの…?『氷上の石碑』が、何か関係あるのね…?」

ここを出てから、
何度も話に出て来ていたわ。

そして、
朱雀の力を宿す、先代の砂丘の王もまた、8年前に亡くなった。

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