記憶 ―流星の刻印―
「…私も実際に行って見て来た訳じゃないからね?聞いた話しか話せないが…」
ババ様は、
そう前置きを付けた。
氷に閉ざされた、氷上の地。
大昔にこの大地に降った5つの星屑の内、1つ目の冷気を纏った流星が作った環境。
1番過酷な環境である事は、間違いないわ。
今は、天星1418年。
いつから数え出したかは分からないけれど、今も尚、溶ける事のない氷の上に人々は住んでいるっていうのだから…。
「…その中心。流星が落ちたとされる窪んだ大地の中心にな…、古い石碑が立っている。」
「…何が書いてあるの?」
ゴクリと、
私の喉が鳴った。
「…この国の言語では書かれていない。しかし、四獣を宿す者たちだけが、それを読み解けると云う…」
朱理が腕を組みながら、うんうん、と深く頷いている様子が視界の隅に入った。
「…それに記されている内容が真実かどうか、それは分からない。しかし…、氷上の主がそれに踊らされ、その為にこの国の平和が脅かされている事は真実。」
「……内容、は…?」
「――…星を、渡る術…」
は?と、目を丸くした。
でも、
ババ様の瞳は…、
恐ろしい程に真剣だった。