記憶 ―流星の刻印―
8年前…、
天星1410年――。
それまでは、平和だった。
何も無かった訳じゃない。
4つの国の間で、少しの小さな争い事は、日々あっただろう。
でも…、
世間から隔離された、未だあどけない少女だった私の知らないところで、
世界全土を揺るがす、
大きな問題が起こっていた。
四獣を宿す主は、人間。
主が寿命を迎えれば、他の誰かにその役目は移る。
「刻印」が移る。
氷上の…
「玄武の刻印」、
それが問題となっている今の氷上の主へと移った事から、全ては始まった。
玄武の主は代々、
石碑を護ってきた。
だから、
その内容も勿論聞いていたはずなのに、今の玄武の主は自らが石碑を読み解ける様になると…
その内容を、
「実現化」しようとした。
四獣を宿す主は、
強大な妖術師である事が多い。
『強大な力が集まると世界の均衡が崩れる』
そう危惧した四彩華の国の機関は、四獣を宿す者同士の接触を禁じてきた。
代々続いてきた四獣の古い歴史の中で、暗黙の規則だったと云う。
それを、彼は破った。